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私がアメリカで魚の買付けをしていた時は、ライバルは同じ日本企業だけだったが、金融市場では世界の金融機関全部が競争相手だ。
欧米企業の場合、意思決定までの時間は短い。
組織が日本企業より単純に出来ており、権限が少数の幹部に集中しているからだ。
まして彼らは、欧米企業に関する豊富な情報を持っている。
そんな彼らと張り合うには、こちらのやり方を変える必要がある。
熟慮して慎重に決定を下すのは、日本人の長所だが、それでは間に合わ二○○一年九月十一日のニューョーク同時多発テロが起きた後、世界の航空会社の経営は危機的な状況に瀕した。
事実、スイス航空など破綻に至った企業が何社か出たのである。
イギリスのある航空会社は、顧客の激減を予想して、事件後わずか二週間で、大幅な人員整理を打ち出した。
その頃、たまたま国際電話で話したある日本企業の重役N氏は、「欧米企業のすることは、素早いですなあ」となかば呆れたように言った。
日本企業なら、もう少し様子を見て慎重に決定する、と彼は言った。
国際金融市場で日本企業の存在感が乏しいのは、不良債権の処理に時間を取られた事情を差し引いたとしても、外国の現地法人や支店に一定の権限を与えていないのも、その理由のひとつだと思う。
本社への一極集中方式は、国際市場ではすでに時代遅れであろう。
現地には、駐在員にも現地雇用のスタッフにも、優秀な人材が揃っているのだから、彼らに思い切って大きな権限を委譲したらどうだろうか。
それによって、必ず日本の金融機関に機動力が生まれ、競争力も強くなると私は信じている。
「私らから見ると、欧米の企業の決断はともすれば拙速に見える。速ければいいというものではない。見極めることも経営陣の重要な任務ですからね。一度、首切りをしておいて、半年後にはその補充のために社員を雇うのでは、社内が落ち着かないし、経費と時間の無駄ですな」しかし、欧米の金融市場にいる者からすれば、日本の政府も企業も決断が遅く、しかも、一度に大きな変化を好まないので、歯がゆく感じる。
打つ手がいつも「小さ過ぎ、遅過ぎる」と言うのである。
こうした日本と欧米の企業の体質の違いは、株主の性格の違いによるところが大きい。
日本の企業の大株主は、銀行や生保、あるいは、取引関係の濃い有力企業である。
これが、いわゆる安定株主である。
その保有比率は、一定しており、特別なことがなければ変動しない。
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